20万円の枠を使い切っても、まだ別の給付がある
介護保険の住宅改修は20万円が上限です。ところが多くの市区町村は、それとは別に介護保険の外で住宅改修の給付を行っています。江東区はこれを「高齢者住宅設備改修給付(介護保険外)」と呼び、品川区は「自立支援住宅改修給付」、大田区は「高齢者自立支援住宅改修助成事業」と呼びます。名前が違うので、同じ制度だと気づきにくいところです。
介護保険の20万円とは別枠
介護保険の住宅改修(支給限度基準額20万円)と、市区町村独自の給付は別の制度です。荒川区は「住宅設備改修給付」「住宅改修予防給付」「転倒防止給付」の3本立てで公表しています。品川区も「介護保険住宅改修給付申請」と「自立支援住宅改修給付申請」を並べて案内しています。
片方を使ったから、もう片方が使えなくなるわけではありません。対象になる工事の種類が違うためです。介護保険は手すり・段差解消・床材変更・扉の取替え・便器の取替えなどが対象ですが、市区町村独自の給付は「浴槽の取替え」「流し・洗面台の取替え」といった設備そのものの入れ替えを対象にしています。
介護保険の側については別にまとめています。→ 20万円は何回に分けられるか/事前申請を忘れたとき
6自治体の限度額を並べる
実測した6自治体の限度額(2026年9月12日確認)
| 江東区 | 荒川区 | 品川区 | 文京区 | 大田区 | 大阪市 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 浴槽の取替え | 379,000円 | 37万9千円 | 37万9千円 | 379,000円 | 379,000円 | —(種目別ではない) |
| 流し・洗面台 | 156,000円 | 15万6千円 | 15万6千円 | 156,000円 | 156,000円 | — |
| 便器の洋式化 | 106,000円 | 10万6千円 | 10万6千円 | 106,000円 | 106,000円 | — |
| 階段昇降機 | 800,000円 | — | 40万円 | — | — | — |
| 予防給付 | 200,000円 | 20万円 | 20万円 | — | — | — |
| 自己負担 | 負担割合に応じる(生活保護は基準額内免除) | 1割から3割(生活保護は全額給付) | 9割から7割の給付 | 負担割合証の割合(1割・2割・3割) | 1割・2割・3割(生活保護は負担なし) | 保険料段階で10/10・9/10などに分かれる |
出典:江東区・荒川区・品川区・文京区・大田区・大阪市の公表内容(2026年9月12日確認)。制度の有無・名称・限度額・自己負担は市区町村ごとに異なり、年度ごとに変わります。
浴槽37万9千円・流し/洗面台15万6千円・便器の洋式化10万6千円は、東京の5区で一致しました。これは東京都の事業を各区が実施しているためです。
つまり「東京23区なら金額はだいたい同じ」と考えられますが、それは種目が3つそろっている場合の話です。
昇降機だけ倍の差がつく
階段昇降機の限度額は、江東区が800,000円、品川区が40万円でした。同じ東京23区で倍の差です。荒川区・文京区・大田区の公表内容には、昇降機の項目が見当たりませんでした。
種目の数そのものが区で違います。荒川区は「住宅設備等新設 1階床新設 35万円」「転倒防止給付 手すり 6万円」という、他区に無い種目を持っています。
窓口で確かめる順番
- そもそも介護保険とは別の給付があるか(名前が区ごとに違う)
- やりたい工事がその区の種目に入っているか
- その種目の限度額はいくらか
- 自己負担は何割か(負担割合証と同じ割合か)
- 過去に同じ種目の給付を受けていないか(文京区は「過去に区により同種の給付を受けていない方」)
大阪市は所得段階で切る
東京5区が「種目ごとの限度額」で組み立てているのに対し、大阪市は「介護保険料段階」で組み立てています。
大阪市の高齢者住宅改修費給付事業(2026年9月12日確認)
| 保険料段階 | 対象工事費 | 支給率 |
|---|---|---|
| 第1段階(生活保護・支援給付対象世帯) | 30万円まで | 10/10 |
| 第1〜4段階(市民税非課税世帯) | 30万円まで | 9/10 |
| 第5〜6段階(本人非課税・世帯課税) | 5万円まで | — |
| 第7段階以上(本人市民税課税) | 対象外 | — |
出典:大阪市の公表内容(2026年9月12日確認)。
本人が市民税課税なら、そもそも対象外です。東京5区は所得での線引きを公表していませんでしたが、大阪市は保険料段階が第7段階以上だと使えません。
「隣の市の案内を読んで自分も使えると思った」がいちばん起きやすいところです。
工事の前に申請しないと出ない
ここは6自治体でほぼ共通していました。工事を始めてしまうと、条件を満たしていても給付が出ません。介護保険の住宅改修と同じ落とし穴ですが、窓口が別の課になることがあるぶん、こちらのほうが見落とされます。
「見積もりを取る」までは事前で、「工事に着手する」と手遅れになります。境目は着工の時点です。江東区はさらに一段きびしく、申請してから職員が訪問し、給付決定が出るまで着工できないとしています。申請した日ではなく、決定が出た日が起点です。
公表されている書き方
江東区
荒川区
品川区
文京区
大田区
申請の順番
- 市区町村に介護保険外の給付があるか確かめる名前が「住宅設備改修給付」「自立支援住宅改修給付」「住宅改修助成事業」などと違います。
- 地域包括支援センターかケアマネジャーに相談する大田区は「必ず事前に」地域包括支援センターへ相談することとしています。
- 見積もりと工事計画書をそろえる大田区は「事業者による見積もりや工事計画書等」の提出を求めています。
- 申請して、給付決定を待つ江東区は「訪問後、給付決定がされてから」着工としています。
- 決定が出てから工事を始める先に着工すると対象外になります。ここで落ちる人がいちばん多いところです。
工事の前に、家の中の片づけが必要になることがある
ここから先は自治体の制度ではなく、民間サービスの申し込みです。料金・対応地域は各社の公表値をご確認ください。
- 料金・対応範囲は各社公式サイトの公表値です
- 対応可能地域は事業者により異なります
- 自治体の助成制度は市区町村により異なります
よくある取りこぼし
介護保険の20万円を使い切ったので、もう何も無いと思った
市区町村が介護保険とは別に給付を行っていることがあります。窓口も担当課が違うことがあります。
見積もりを取る前に工事を始めてしまった
6自治体とも事前申請が前提です。着工後は対象外になります。
隣の市の限度額をそのまま当てはめた
階段昇降機は江東区800,000円・品川区40万円でした。種目の有無も区で違います。
所得の条件が無いと思っていた
大阪市は保険料段階が第7段階以上だと対象外です。
同じ種目で2回目を申請した
文京区は「過去に区により同種の給付を受けていない方」を要件にしています。
要介護認定を受けていないから対象外だと思った
荒川区の「転倒防止給付」は「70歳以上の被保険者(要介護・要支援認定者を除く)」が対象です。品川区の予防給付も「非該当だった方、または要支援認定もしくは要介護認定を受けていない方」が対象です。
確認に使った一次情報
- 江東区「高齢者住宅設備改修給付(介護保険外)」江東区
- 荒川区「高齢者住宅改修給付事業」荒川区
- 品川区「住宅を改修するとき(介護保険住宅改修給付申請・自立支援住宅改修給付申請)」品川区
- 文京区「高齢者住宅設備等改造事業(設備改造)」文京区
- 大田区「高齢者自立支援住宅改修助成事業」大田区
- 大阪市「高齢者住宅改修費給付事業」大阪市
いずれも2026年9月12日に確認した公表内容です。制度の有無・対象・限度額・自己負担は市区町村ごとに異なり、また年度ごとに変わります。
よくある疑問
介護保険の住宅改修20万円と、どちらを先に使いますか。
いくら戻りますか。
要介護認定がないと使えませんか。
工事を始めてしまいました。
賃貸でも使えますか。
業者は指定されますか。
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一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。