年10万円。ただし「1年間サービスを使わない」ことが条件
家族介護慰労金は、要介護4・5の方を在宅で介護し、1年間まったく介護保険サービスを使わなかった世帯に、年10万円を支給する制度です。自治体が独自に行っています。結論から言うと、ほとんどの方は該当しません。そして、該当させにいくべき制度でもありません。それでも書くのは、要件を知らずに「もらえるらしい」と期待して、介護を抱え込んでしまう方がいるからです。
どんな制度か
介護保険の「地域支援事業」の一つとして、市区町村が独自に実施しているものです。国が全国一律で行っている制度ではありません。実施していない自治体もあります。
制度の骨格(東京都日野市・国分寺市の公表内容より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 重度の要介護高齢者1人につき年間10万円 |
| 対象となる高齢者 | 要介護4または要介護5に継続して認定されている方 |
| 介護する側 | 同居して生計を共にする家族 |
| 最大の条件 | 申請日からさかのぼって過去1年以上、介護保険サービスを利用していないこと |
| 世帯の条件 | 本人を含めた同居の世帯員全員が、当該年度の住民税非課税であること |
| 実施主体 | 市区町村(実施していない自治体もあります) |
金額・要件・実施の有無は自治体ごとに異なります。ここに挙げたのは2市の公表内容です。
要件は4つとも厳しい
1つでも外れると出ません。そして4つとも、実際にはかなり厳しい条件です。
4つの要件と、実際のところ
① 要介護4または5が、1年以上続いていること
② 過去1年以上、介護保険サービスを使っていないこと
③ 世帯全員が住民税非課税であること
④ 長期入院をしていないこと
日野市はさらに、介護する側について「65歳以上で現在日野市内に居住している方」という条件を挙げています。自治体ごとに条件が追加されます。
なぜ要件がここまで厳しいのか
この制度は「介護保険サービスを使わなかったこと」に対する慰労という位置づけです。だから「使っていないこと」が要件になります。
ここに、この制度の性格が表れています。使えば出ない。使わなければ出る。年10万円は、1年間サービスを使わずに在宅で介護し続けたことへの、事後的なねぎらいです。
なぜ、ほとんど案内されないのか
介護事業者から見ると
ケアマネジャーから見ると
市区町村から見ると
介護している家族から見ると
狙いにいくべきでない理由
10万円と、使わなかった場合に起きること
| 内容 | |
|---|---|
| 受け取れる額 | 年10万円(月あたり約8,300円) |
| 使わないこと | 訪問介護・デイサービス・福祉用具のレンタル・訪問看護など、すべて |
| 起きやすいこと | 介護する側の体調悪化、腰痛、睡眠不足、社会からの孤立 |
| 見えにくい損失 | 福祉用具を使わないことによる転倒・事故、状態の悪化、共倒れ |
支給額と負担が釣り合いません。すでに結果としてサービスを使っていない世帯が、あとから申請するための制度と考えてください。
もし「サービスを使っていないから該当しそうだ」という状況なら、それは慰労金より先に、なぜ使えていないのかを相談すべき状態です。費用が理由なら軽減の制度があり、本人が拒んでいるなら別の入り方があります。
例外として認められる利用
「まったく使っていない」が原則ですが、例外を設けている自治体があります。
介護保険サービスを申請日からさかのぼって過去1年以上利用していない(1週間以内のショートステイの利用は除く)
日野市は1週間以内のショートステイなら、利用していないものとして扱うとしています。日数の上限は自治体ごとに違います。「少しなら大丈夫だろう」と自己判断せず、窓口で確認してください。
自分の市にあるかどうか
実施していない自治体もあります。呼び方も違います。
窓口で聞くこと(この順で)
- 「家族介護慰労金という制度はありますか」(無ければ、似た名前の慰労金・見舞金があるか)
- 支給額と、要件(要介護度/サービス未利用の期間/世帯の課税状況/入院の扱い)
- ショートステイなど、例外として認められる利用と日数
- 介護する側の年齢・居住地の条件があるか
- 申請の時期と、必要な書類
探すときは、市区町村のサイト内で「慰労金」で検索するのが早いです。介護保険のページではなく、例規集(要綱)にだけ載っていることがあります。
該当しない場合に見るべき制度
ほとんどの方は該当しません。該当しないことは、悪いことではありません。サービスを使えているということです。そのうえで、負担を下げる制度は別にあります。
目的別に見る、ほかの制度
| 困っていること | 見るべき制度 |
|---|---|
| 介護保険の自己負担が月々重い | 高額介護サービス費(上限を超えた分が戻る) |
| 施設の居住費・食費が重い | 負担限度額認定(はじめから請求額が下がる) |
| 税金を下げたい | 障害者控除対象者認定書(手帳がなくても対象になり得る) |
| 在宅で常時の介護が必要 | 特別障害者手当(月額の現金給付) |
| おむつ・用具の費用 | 日常生活用具給付など3系統 |
| 住宅改修や用具購入の立て替えが苦しい | 受領委任払い(先に払う額が1〜3割で済む) |
慰労金の年10万円より、これらのほうが金額として大きくなることがあります。
抱え込む前に、必要な分だけ外に出す
サービスを使っていない理由が「合う形が見つからない」なら、介護保険の外で必要な時間だけ頼む方法もあります。まず相談だけでもできます。
- 相談・見積もりは無料です
- 介護保険では対応できない内容にも対応しています
- 24時間365日の相談体制があります
よくある疑問
いくらもらえますか。
要介護3ですが対象になりますか。
福祉用具のレンタルだけ使っています。対象になりますか。
ショートステイを使いました。
同居の家族に収入があります。
入院していた期間があります。
この制度をもらうために、サービスを止めたほうがよいですか。
市のホームページに載っていません。
さかのぼって申請できますか。
該当しませんでした。ほかに使える制度はありますか。
→ 保険で頼めない4分類/月の上限を超えた分が戻る制度/手帳がなくても使える所得控除/先に払う額を10分の1にする払い方/障害福祉サービスの負担上限と「世帯」の範囲/離れて暮らす親の見守り
介護保険で頼めないことの記事一覧
一次情報の確認先
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