本ページはアフィリエイト広告を利用しています。制度の記載は一般的な説明であり、個別の適用はケアマネジャー・保険者にご確認ください。

手帳がなくても、要介護認定があれば所得控除を受けられる

障害者控除は「障害者手帳を持っている人の制度」だと思われています。実際には、手帳がなくても、市区町村長の認定を受けていれば対象になります。要介護認定を受けている高齢者は、この認定の対象になり得ます。ところがこの制度は、税務署でも、介護保険の窓口でも、施設でも、正面から説明されにくい場所にあります。理由まで含めて整理します。

本ページは制度の一般的な整理です。対象・金額・品目は市区町村ごとに異なり、年度ごとに改定されます。実際の申請にあたっては、お住まいの市区町村の窓口(障害福祉担当・高齢福祉担当)、または担当のケアマネジャー・相談支援専門員にご確認ください。税の取り扱いは税務署にご確認ください。
このページの内容
  1. なぜ知られていないのか
  2. 手帳がなくても対象になる根拠
  3. 要介護度では決まらない
  4. 控除額と、効きかた
  5. 基準日は12月31日
  6. 5年さかのぼれる
  7. 自治体で運用が2通りに分かれる
  8. 確認と申請の順序
  9. よくある疑問

なぜ知られていないのか

この制度は、関わる窓口のどこにとっても「自分の担当ではない」位置にあります。それが情報が出てこない理由です。

説明されにくい理由を、窓口ごとに分ける

税務署

控除そのものは税の話ですが、認定書を発行するのは市区町村長です。税務署は認定書を出せません。申告のときに「認定書があれば控除できます」とは言えても、「あなたは認定されるはずだから取りに行きなさい」とは言えません。判定材料を持っていないからです。

介護保険の窓口・地域包括支援センター

認定の材料(認定調査票や主治医意見書)を持っているのは、この部署です。しかし業務は介護保険の給付であって、税ではありません。要介護認定の結果通知に、税の控除の案内が同封されるとは限りません。

施設・事業所

税の相談を受ける立場にありません。この控除が使われても、施設の収入は増えも減りもしません。案内する動機がとくにない領域です。

税理士・会計事務所

内容としては専門ですが、年金と給与だけの高齢者の確定申告は、業務として引き受けにくい規模です。依頼が来ないので、情報も出にくくなります。

つまり「誰の売上にもならないので、誰も積極的に書かない」制度です。使う側が自分で気づくしかない構造になっています。

手帳がなくても対象になる根拠

所得税の障害者控除の対象は、手帳の所持者に限られていません。国税庁が示す対象者の区分には、次のものが含まれます。

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人

市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人

引き続き6か月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人

このうち「市町村長等の認定を受けている人」が、いわゆる障害者控除対象者認定書です。手帳とは別の入口が、はじめから用意されています。

この時点で確認しておくこと

要介護度では決まらない

ここがいちばん誤解されている点です。「要介護3以上なら特別障害者」という全国一律の基準はありません。実際の判定は、要介護認定の資料に含まれる2つの指標を見て行われます。

判定に使われる2つの指標(複数自治体の公表内容より)

指標何を見るものか資料のありか
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)J1・J2・A1・A2・B1・B2・C1・C2 の8段階で、移動と生活の自立の度合いを示す認定調査票・主治医意見書
認知症高齢者の日常生活自立度Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・M の段階で、認知症による生活への支障の度合いを示す認定調査票・主治医意見書
要介護度上の2つを見るときの参考として扱われる介護保険被保険者証

要介護度は参考であって、判定そのものの基準ではありません。要介護1でも、自立度の区分によっては認定されることがあります。

区分の対応は自治体が定めます。たとえば埼玉県朝霞市は、公表資料で次のように示しています。

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)がB1、B2、C1及びC2に該当するもの

認知症高齢者の日常生活自立度がⅣまたはMに該当するもの

これに当たる場合を特別障害者、当たらないが認定の対象になる場合を障害者としています。同じ要介護2でも、認知症の自立度がⅣであれば特別障害者、Ⅱbであれば障害者、という分かれ方をします。要介護度だけを見て「うちは軽いから関係ない」と判断してしまうのが、いちばん多い取りこぼしです。

控除額と、効きかた

障害者控除の控除額(所得税・国税庁の公表内容)

区分控除額(所得税)
障害者27万円
特別障害者40万円
同居特別障害者75万円

住民税の控除額は所得税とは別に定められており、金額が異なります。実際にいくら税額が減るかは、その方の税率と所得によって変わります。

注目したいのは「同居特別障害者」の75万円です。特別障害者に当たる方を、配偶者控除・扶養控除の対象として、かつ同居して扶養している場合の区分です。親を扶養に入れて同居している家庭では、控除額がもっとも大きくなります。

控除は本人の申告でも、扶養している家族の申告でも使えます。本人に課税所得がほとんどない場合、本人の申告では減る税がありません。その場合は扶養している側の申告に付けるほうが効きます。どちらに付けるかで結果が変わるので、申告の前に整理してください。

基準日は12月31日

判定は、控除を受けようとする年の12月31日時点の状態で行われます。年の途中の状態ではありません。

基準日の考え方

その年の10月に要介護認定を受けた

12月31日時点で要介護認定を受けている状態なので、その年分から対象になり得ます。10月より前の期間について按分されることはありません。

その年の8月に亡くなった

多くの自治体が死亡日を基準日として扱うとしています。亡くなった年についても申請できる場合があります。準確定申告や、扶養していた家族の申告で使う形になります。

年の途中で他の市区町村から転入した

12月31日時点の認定調査票の情報が、いまの市にないことがあります。前の市への照会が必要になり、発行に時間がかかります。この場合は自動では送られてこないので、自分から申請してください。

12月31日時点で施設に入所していた

在宅であることは要件ではありません。ただし転入と同じく、認定調査の情報の所在によって手続きが変わることがあります。

5年さかのぼれる

この制度でいちばん金額が大きく動くのが、過去分です。還付申告について、国税庁は次のように示しています。

その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。

つまり過去に控除を使っていなかった年についても、5年以内であれば申告し直して還付を受けられる可能性があります。認定書の側も、複数年分をまとめて申請できる自治体があります。千葉県浦安市は次のように示しています。

最長で5年分を遡及して申請することが可能

ただし同市は、過去の認定調査資料に基づいて審査するため、交付できない場合があるとも記載しています。資料が残っていること、その時点の自立度が基準に当たることが前提です。「5年分必ず出る」ものではありません。

過去分を取りにいくときの順序

  1. 何年分の対象になり得るかを数える要介護認定を受けた時期を確認します。認定を受けていた年のうち、いま申告できる5年以内のものが候補です。
  2. 市区町村に、複数年分の認定書を申請する年ごとに申請書が必要になる自治体があります。何枚必要か、先に電話で確認してください。
  3. 交付された年分だけを申告する交付されなかった年は、その年の資料では基準に当たらなかったということです。無理に申告しないでください。
  4. 税務署で更正の請求または還付申告をするすでに申告済みの年か、申告していない年かで手続きの名前が変わります。認定書を持って税務署に相談するのが確実です。

自治体で運用が2通りに分かれる

ここを知らないと、そもそも申請という行動が起きません。調べた範囲で、自治体の運用は大きく2つに分かれます。

認定書の出しかた(実際の公表内容より)

運用内容利用者から見た注意点
自動送付型対象になる方に、毎年1月下旬ごろに認定書を送付する。原則として申請は不要(例:埼玉県朝霞市)届いた封筒を「介護保険のお知らせ」と思って開けずにいると、そのまま使われない
申請型翌年1月以降に、本人または家族が申請して交付を受ける(例:東京都北区、千葉県浦安市)申請しなければ何も届かない。存在を知らないかぎり永久に使われない

自動送付型の自治体でも、年の途中で転入した方や、その年に亡くなった方は申請が必要になります。

浦安市は交付までの目安を「申請書の受付からおおむね14日以内に発送」としています。確定申告の期限直前に動くと間に合わないことがあります。1月のうちに申請しておくのが安全です。

確認と申請の順序

最初にやること(順番に意味があります)

  1. 介護保険被保険者証を用意する要介護度と保険者(市区町村名)を確認します。認定書を出すのは、この保険者です。
  2. 市区町村の高齢福祉・介護保険の窓口に電話する「障害者控除対象者認定書について聞きたい」と言えば担当につながります。障害福祉の窓口ではなく、介護保険の資料を持っている部署です。
  3. 自動送付か申請制かを聞く自動送付なら、いつごろ届くかを聞いておきます。申請制なら、申請書の入手方法と必要書類を聞きます。
  4. 過去分も申請できるかを、同じ電話で聞く何年分まで遡れるか、年ごとに申請書が要るかを確認します。ここを別の日に聞き直すと、2回手間になります。
  5. 交付されたら、どちらの申告に付けるかを決める本人か、扶養している家族か。本人に課税所得がほとんどなければ、扶養している側に付けるほうが効きます。

よくある取りこぼし

要介護度が軽いから関係ないと判断してしまう

判定は要介護度ではなく日常生活自立度で行われます。認知症の自立度だけが重い場合、要介護1や2でも認定されることがあります。要介護度だけを見て諦めないでください。

障害福祉の窓口に電話してしまう

認定の材料である認定調査票を持っているのは介護保険の部署です。障害福祉の窓口では「手帳をお持ちですか」という話から始まってしまい、話が進みません。

届いた認定書を使わずにしまってしまう

自動送付型の自治体では、封筒の見た目が介護保険の他の通知と変わりません。1月下旬から2月に届く郵便は、開けてから仕分けてください。

亡くなった年は関係ないと思ってしまう

多くの自治体が死亡日を基準日として扱います。亡くなった年についても申請できる場合があります。その年の医療費控除と合わせて、準確定申告で使う形になります。

確定申告の直前に動く

交付までにおおむね2週間かかる自治体があります。転入者で前の市への照会が必要な場合は、さらに時間がかかります。

制度で埋まらない部分を、自費のサービスで頼む

認定書は税の負担を下げるものであって、介護そのものを楽にするものではありません。介護保険で頼めない付き添いや家事を、必要な分だけ頼む選択肢もあります。

掲載内容は各社公式サイトの公表値です。面談・相談は無料。広告(PR)を含みます。

よくある疑問

よくある疑問

障害者手帳を持っていません。それでも対象になりますか。

手帳の有無は要件ではありません。所得税法上の障害者には「市町村長等の認定を受けている人」が含まれており、これが障害者控除対象者認定書です。手帳を持っている方は、手帳で控除を受けられるので認定書は不要です。

要介護1ですが、対象になりますか。

要介護度そのものでは決まりません。障害高齢者の日常生活自立度と認知症高齢者の日常生活自立度で判定されます。要介護1でも、認知症の自立度が重ければ認定されることがあります。市区町村に確認してください。

要支援でも対象になりますか。

自治体によって入口の条件が異なります。「要支援・要介護の認定を受けている方」としている自治体もあれば、「要介護1から5」としている自治体もあります。お住まいの市区町村の要件を確認してください。

認定書は毎年もらう必要がありますか。

控除は年ごとに受けるものなので、年分ごとの認定書が必要です。毎年自動で送付する自治体と、毎年申請が必要な自治体があります。

特別障害者手当と同じものですか。

別の制度です。特別障害者手当は現金が支給される制度、障害者控除は税額を計算するときの所得控除です。名前が似ていますが、要件も窓口も異なります。両方に当たることもあります。

施設に入所していても対象になりますか。

在宅であることは要件ではありません。ただし12月31日時点の認定調査の情報がどこにあるかによって、手続きに時間がかかることがあります。

本人と家族、どちらの申告に付けるとよいですか。

本人に課税所得がほとんどない場合、本人の申告では減る税がありません。扶養親族としている家族の申告に付けるほうが効きます。同居して扶養している場合は、同居特別障害者として控除額が大きくなります。

過去の分はいつまでさかのぼれますか。

還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できるとされています。認定書の側も5年分まで申請できるとしている自治体があります。ただし当時の資料に基づく審査になるため、交付されない年もあります。

認定書が交付されなかった場合はどうなりますか。

その年の資料では基準に当たらなかったということです。翌年に状態が変われば、あらためて申請できます。

申告のやり方が分かりません。

認定書を持って税務署または市区町村の住民税担当に相談してください。本ページは制度の整理であり、個別の税務相談には対応できません。

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