2年の数え始めは、工事が終わった日ではない
工事は終わったのに、事後の申請を出さないまま時間が経ってしまう。住宅改修費には期限があり、過ぎると出ません。期限は介護保険法に書かれた2年です。ただ「いつから数えて2年か」を勘違いすると、半年ほどずれます。条文と自治体の記載で確かめます。
条文はどう書いているか
介護保険法 第200条を、原文のまま引きます。
保険料、納付金その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によって消滅する。
住宅改修費は保険給付です。だから「行使することができる時」から2年で消えます。条文は日付を特定していません。そこを埋めているのが、市区町村の説明です。
起算日は「払った日の翌日」
2つの自治体の記載を並べます。
住宅改修費支給申請(事後申請)の消滅時効は、被保険者が施工業者に代金を完済した日(領収日)の翌日から起算して2年となりますのでご注意ください。(江東区)
住宅改修費の支給申請にかかる時効は2年間です(起算日は支払った日の翌日)。(泉佐野市)
2つの市区で書き方が一致しています。基準は支払いです。
どの日が起算日になるか
| 候補になりそうな日 | 起算日か |
|---|---|
| 事前申請を出した日 | ✗ |
| 承認通知が届いた日 | ✗ |
| 工事が始まった日 | ✗ |
| 工事が完了した日 | ✗ |
| 業者に代金を完済した日(領収日)の翌日 | ◎ |
出典:江東区・泉佐野市の記載。書き方は市区町村によって異なることがあります。お住まいの市区町村の記載を確認してください。
なぜ工事完了日ではないのか
条文が「行使することができる時」と書いているからです。住宅改修費はかかった費用に対して支給されるお金なので、費用が確定して初めて請求できます。工事が終わっただけでは、まだ金額が確定していないことがあります。
裏を返すと、支払いを分割にしたり、最後の1回が遅れたりすると、起算日も後ろにずれます。「完済した日」と書かれているのはそのためです。
2つの支払方法で違うか
償還払いと受領委任払いで、期限の考え方は変わるか
| 工事のときに払う額 | 起算日の考え方 | |
|---|---|---|
| 償還払い | 全額 | 完済した日の翌日 |
| 受領委任払い | 自己負担分(1〜3割) | 自己負担分を完済した日の翌日と扱う市区町村がある |
受領委任払いでの扱いは市区町村で分かれます。江東区・泉佐野市の記載は事後申請の消滅時効について書かれたもので、支払方法ごとの区別を明示していません。受領委任払いを使う場合は、窓口で確認してください。
ただし受領委任払いは、業者が申請にかかわる形です。業者が事後の書類を出さないまま止まっているケースが起こりえます。工事から数か月経っても振込や通知がないなら、業者ではなく市区町村に聞いてください。
日付の数え方の例
実際の日付で並べます。これは数え方を示す例であって、個別の判断ではありません。
同じ工事でも、支払いの日で期限が変わる
| 支払いの形 | 完済した日 | 起算日 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 工事完了時に一括で払った | 4月10日 | 4月11日 | 翌々年の4月10日 |
| 半額を前払い、残りを完了後に払った | 5月20日 | 5月21日 | 翌々年の5月20日 |
| 請求書が遅れて届き、翌月に払った | 6月30日 | 7月1日 | 翌々年の6月30日 |
工事が終わった日はどれも同じでも、完済の日で期限が変わります。領収書の日付を必ず控えてください。
過ぎてしまった場合
時効が完成すると、市区町村の側に支給する権限がなくなります。窓口の判断で延ばせるものではありません。「事情を説明すれば」という性質のものではない、という点が事前申請の忘れ(→ 工事のあとに気づいたとき)とは違います。
ただしまだ2年以内なら、工事が何年前でも申請できます。「もう古い工事だから」と諦める前に、領収書の日付を見てください。
過ぎたかどうかを確かめる手順
- 業者への最後の支払いの領収書を探す
- その日付の翌日から2年を数える
- 2年以内なら、市区町村の窓口にいま出せるかを聞く
- 領収書が見つからないなら、業者に再発行を頼む
- 事前申請をしていたかどうかも同時に確認する
振込はいつになるか
期限内に出しても、お金がすぐ入るわけではありません。三鷹市はこう書いています。
申請月の翌々月の上旬に指定口座へ振り込みます。
申請してから2か月ほどかかるという前提で資金を考えてください。この期間も市区町村によって異なります。
期限以外で出なくなる条件
期限を守っても、別の理由で出ないことがあります。江東区が挙げているものを並べます。
江東区の記載から
| 条件 | どうなるか |
|---|---|
| 介護保険料の未納がある | 支給対象とならない場合がある |
| 被保険者証に記載された住所以外での改修 | 対象外 |
| 施設入所中の方に対する、施設での改修 | 対象外 |
| 入院中・入所中の申請 | 原則としてできない(外泊や一時帰宅も不可) |
| 認定の有効期間外に行われた改修 | 対象外 |
出典:江東区「介護保険住宅改修費の支給」。これらの取り扱いは市区町村によって異なることがあります。
退院に合わせて工事したい場合について、江東区はこう書いています。
退院・退所することが決まり、やむを得ない事由で退院・退所前に改修を行う必要がある場合のみ、例外的に事前申請を受け付けます。
そして認定を待っている段階についても書かれています。
新規認定申請中や区分変更中でも事前申請はでき、審査後、事前申請確認書が発行された場合は、工事に着手することは可能です。ただし、事後申請は認定結果後でないとできません。
認定結果を待たずに工事を始められる場合があるという記載です。退院の日が決まっていて間に合わない、というときに効きます。ただし事後の申請は認定が出てからです。
住まいの改修にまとまった費用がかかる場合
保険の対象は工事費20万円までです。それを超える部分の資金計画は、別に考える必要があります。
- k
- a
- i
- g
- o
確認の順序
工事のあと、忘れないための順序
- 最後の支払いをした日を控える(領収書の日付)
- その翌日から2年が期限だと理解する
- 工事完了後、すぐに事後申請の書類をそろえ始める
- 領収書・工事内訳書・工事後の写真がそろっているか確認する
- 受領委任払いなら、業者が出したかを市区町村に確認する
- 申請から振込まで2か月ほどかかることを見込む
→ 先に出すお金を10分の1にする払い方/工事のあとに気づいたとき/理由書は誰が書くのか/20万円は何回に分けられるか/借りている家で工事するとき/保険で頼めないこと一覧
確認に使った一次情報
- 介護保険法 第200条(時効)e-Gov 法令検索https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
- 江東区「介護保険住宅改修費の支給」https://www.city.koto.lg.jp/212106/fukushi/kaigohoken/kyufu/6537.html
- 泉佐野市「介護保険住宅改修費の支給について」https://www.city.izumisano.lg.jp/kakuka/kenkou/kaigo/menu/11574.html
- 三鷹市「介護保険(介護予防)住宅改修費の支給」https://www.city.mitaka.lg.jp/c_service/014/014875.html
よくある疑問
工事は3年前ですが、支払いは去年でした。申請できますか。
領収書をなくしました。
受領委任払いなら自分で申請しなくてよいですか。
本人が亡くなった場合はどうなりますか。
2年を過ぎたら、事情によっては認められますか。
分割で払っている途中です。いつから数えますか。
申請したのに振込がありません。
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