払ってから戻すのではなく、市が病院へ直接払う
医療費が高額になったとき、あとから戻ってくる仕組みが高額療養費です。ただし「あとから」なので、いったんは窓口で払わなければなりません。国民健康保険には、この立て替えをしなくてよい「受領委任払い」を用意している市区町村があります。市が高額療養費に相当する額を医療機関へ直接払う仕組みです。
仕組み
相模原市は、この制度をこう説明しています。
自己負担限度額だけを病院等へお支払いいただき、自己負担限度額を超えた高額療養費に相当する金額を相模原市が直接病院等へ支払う
出典:相模原市「高額療養費受領委任払」
厚木市も「高額療養費として支給される金額を厚木市国保から直接医療機関へ支払う」としています。
支払い方の違い
| 原則(あとから払い戻し) | 受領委任払い | |
|---|---|---|
| 窓口で払う額 | いったん請求額の全部 | 自己負担限度額まで |
| 残りの流れ | あとから本人に高額療養費が支給される | 市から医療機関へ直接 |
| 用意するお金 | 請求額の全部 | 自己負担限度額の分 |
| どこでも使えるか | 使える | 制度がある市区町村で、協定を結んだ医療機関の場合 |
出典:厚木市・相模原市の公表内容から整理。制度の有無と条件は市区町村ごとに異なります。
限度額適用認定証との違い
似た仕組みに「限度額適用認定証」があります。これも窓口の支払いを自己負担限度額までにするものです。違いは、いつの分に使えるかです。
限度額適用認定証と受領委任払い
| 限度額適用認定証 | 受領委任払い | |
|---|---|---|
| 使える診療分 | 認定証を提示した以降の診療分 | 相模原市は「申請月以前の診療分についても、適用することができます」 |
| 手続きの相手 | 保険者(市区町村など)に交付を申請し、医療機関に提示 | 市と医療機関の両方が関わる |
| 医療機関の同意 | 不要 | 必要(協定・許可) |
| 制度の広がり | 全国の制度 | 市区町村ごとの制度 |
出典:相模原市の記載から整理。マイナ保険証を使うと認定証がなくても限度額の適用を受けられる場合があります。詳しくは加入している保険者にご確認ください。
すでに支払ってしまったあとの分をどうするか、という場面では受領委任払いのほうが使えることがあります。相模原市はこの点を明記しています。
医療機関との協定
この制度は、市と医療機関の合意があって初めて成り立ちます。
事前に厚木市国保と医療機関との間で「協定」が必要
出典:厚木市「高額療養費受領委任払い制度」
相模原市も「事前に病院等の許可を得ていただくことが必要」としています。
つまり、かかっている病院が協定を結んでいなければ使えません。制度がある市区町村でも、すべての医療機関で使えるわけではありません。病院の医事課・会計窓口に確認することになります。
使える条件
実際に確認できた条件
- 厚木市:原則として国民健康保険料を滞納していない世帯
- 厚木市:市の国保と医療機関の間に協定があること
- 相模原市:事前に病院等の許可を得ていること
- 医療機関からの請求書(厚木市は1か月分の月間請求書を持参)
- 本人確認書類(厚木市は世帯主の本人確認書類/相模原市はマイナンバーの番号確認・身元確認書類)
保険料の滞納は、多くの市区町村で条件になっています。心当たりがあれば、まず納付相談をしてください。分割の相談に応じている市区町村があります。
対象にならないもの
高額療養費の対象外になるもの
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 差額ベッド代 | 対象外(相模原市の記載) |
| 入院時の食事代 | 対象外(相模原市の記載) |
| 保険診療の対象外の請求分 | 対象外(厚木市の記載) |
| 先進医療の技術料など | 保険外の部分は対象外 |
出典:厚木市・相模原市の公表内容から。これらは受領委任払いを使っても、自分で支払う部分です。
入院の請求書には、保険が効く部分と効かない部分が混ざっています。受領委任払いで軽くなるのは、保険が効く部分のうち自己負担限度額を超えた分だけです。
手続きの流れ
厚木市・相模原市の記載から整理した流れ
- 市の国保担当課に制度があるか確認する無い市区町村があります。
- 医療機関が協定を結んでいるか確認する病院の会計窓口・医事課へ。相模原市は「事前に病院等の許可」が必要。
- 医療機関から請求書をもらう厚木市は1か月分の月間請求書を持参。
- 市の窓口で申請する本人確認書類を持参。
- 市が条件を確認し、申請書を交付する厚木市は限度額を記載した申請書を交付。
- 窓口で自己負担限度額を支払う残りは市から医療機関へ。
状況ごとの考え方
すでに窓口で全額払ってしまった
かかっている病院が協定を結んでいなかった
保険料の滞納がある
国民健康保険ではなく、健康保険(被用者保険)に加入している
世帯主が亡くなっている
入院が長引きそうで、月をまたぐ
よくある取りこぼし
病院に確認せずに市へ行った
医療機関の協定・許可が前提です。先に病院の会計窓口で確認してください。
差額ベッド代も軽くなると思っていた
保険外の部分は対象外です。相模原市は差額ベッド代と入院時の食事代を対象外としています。
保険料の滞納があった
対象外になることがあります。納付相談を先に。
加入している保険を取り違えていた
これは市区町村の国民健康保険の制度です。勤め先の健康保険では別の仕組みになります。
請求書を持って行かなかった
厚木市は医療機関からの月間請求書(1か月分)の持参を求めています。
確認の順序
どこから確認するか
- 加入している保険を確認する国民健康保険か、勤め先の健康保険か。
- 市の国保担当課に電話する受領委任払いの制度があるか。
- 病院の会計窓口に聞く市と協定を結んでいるか。
- 保険料の納付状況を確認する滞納があると対象外になることがあります。
- 請求書と本人確認書類を用意する市区町村によって必要書類が違います。
- 限度額適用認定証と比べるどちらが自分の場面に合うか。
確認に使った一次情報
- 厚木市「高額療養費受領委任払い制度」 厚木市 高額療養費受領委任払い制度
- 相模原市「高額療養費受領委任払」 相模原市 高額療養費受領委任払
よくある疑問
受領委任払いはどの市区町村にもありますか。
限度額適用認定証があれば、受領委任払いは要りませんか。
どの病院でも使えますか。
勤め先の健康保険でも同じ制度がありますか。
食事代や差額ベッド代も軽くなりますか。
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一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。