買ってから申請しても、出ない
補聴器は公的医療保険の給付対象ではありません。療養費の申請先を探しても見つかりません。そのかわり、市区町村が独自に購入費の助成を行っていることがあります。ただし条件が2つあります。ひとつは、決定の前に買ってはいけないこと。もうひとつは、聴力の測定結果(オージオグラム)を添えることです。
なぜ保険では出ないのか
公的医療保険は、保険診療として認められた医療行為に対して給付します。補聴器の購入はそこに含まれていません。治療用装具のように「医師の指示で作ったから療養費」という扱いにはならない、ということです。
ただし、聴覚障害で身体障害者手帳の交付を受けている場合は、障害者総合支援法の補装具費という別の制度があります。市区町村の高齢者向け助成は、その補装具費の対象にならない人のための制度です。→ 手帳の対象になる場合
対象になる人
対象の要件(目黒区・世田谷区の記載から)
| 目黒区 | 世田谷区 | |
|---|---|---|
| 年齢 | 満65歳以上の区内在住者 | 満65歳以上で区内に住所がある |
| 所得 | 住民税非課税のかた | 前年度の住民税が非課税の方 |
| 聴力 | 両耳の聴力レベルが40デシベル以上70デシベル未満(または補聴器装用の必要性を認められたかた) | 耳鼻咽喉科医の診察で聴力レベルが40デシベル以上と判定され、補聴器が有効だと認められた方 |
| 手帳との関係 | 聴覚障害(高度難聴以上)による補装具費の支給を受けられないかた | 身体障害者手帳(聴覚障害)の交付対象とならない方 |
| 回数 | — | 過去5年以内に助成を受けたことのない方(5年に1回) |
出典:目黒区・世田谷区の公表内容(2026年9月10日確認)。要件・金額は市区町村ごとに異なり、年度ごとに改定されます。本ページは制度の要件を整理したもので、聞こえの状態や医療については扱いません。
住民税非課税という所得の条件が、両区に共通して置かれています。ここで対象外になる人が多い制度です。
助成額
助成額
| 目黒区 | 世田谷区 | |
|---|---|---|
| 上限 | 70,000円(令和8年4月1日申請分から適用) | 50,000円以内 |
| 購入費が上限以下のとき | 購入費(千円未満切捨)が助成額 | 購入費が助成額 |
出典:目黒区・世田谷区の公表内容(2026年9月10日確認)。金額は市区町村ごとに異なります。
同じ東京23区でも2万円の差があります。隣の区の記載を当てはめないでください。
購入前でなければならない
この制度でいちばん多い取りこぼしがこれです。
いつ買うか
| 目黒区 | 世田谷区 | |
|---|---|---|
| 対象になるもの | 助成決定後に購入したもの | 「区の交付決定後に購入したもの」 |
| 対象にならないもの | 「助成決定前に購入した機器やレンタル・リースの費用は対象になりません」 | 「交付決定前に購入したもの、レンタル、リースは対象外」 |
出典:目黒区・世田谷区の公表内容(2026年9月10日確認)。先に買うと、あとから申請しても出ません。
レンタル・リースも両区とも対象外です。「試してから決めたい」という順番と、制度の順番が合っていません。試聴は購入とは別なので、販売店に確認したうえで、買う前に申請してください。
必要な書類
目黒区が挙げている書類
- 助成申請書
- 「オージオグラム(聴力図)の添付された医師意見書(証明書)」(発行から6か月以内)
- 「認定補聴器専門店の見積書(写し可)」
世田谷区が挙げている書類
- 申請書(裏面に聴覚検査(オージオグラム)結果を添付)
- 見積書(販売店が作成)
どちらもオージオグラムと見積書です。つまり、耳鼻咽喉科の受診と、販売店での見積もりを、購入の前に済ませておく必要があります。目黒区は意見書の有効期限を発行から6か月以内としています。
流れ
目黒区・世田谷区の記載から整理した流れ
- 市区町村に制度があるか確認する全ての市区町村にあるわけではありません。
- 耳鼻咽喉科を受診し、意見書とオージオグラムを受け取る目黒区は発行から6か月以内としています。
- 販売店で見積書をもらう目黒区は「認定補聴器専門店の見積書」としています。
- 申請して、決定を待つここまでは買いません。
- 決定後に購入する決定前に買うと対象外です。
- 領収書などを提出して助成を受ける提出書類は市区町村により異なります。
手帳の対象になる場合は別の制度
聴覚障害で身体障害者手帳の交付を受けられる場合は、障害者総合支援法の補装具費という制度が使えます。目黒区・世田谷区の高齢者向け助成は、その対象にならない人のための制度です。だから両区とも「補装具費の支給を受けられないかた」「身体障害者手帳(聴覚障害)の交付対象とならない方」という条件を置いています。
どちらに当たるかは、聴力の測定結果によります。まず耳鼻咽喉科で相談してください。
状況ごとの考え方
もう買ってしまった
試しにレンタルしている
住民税を払っている
片耳だけ聞こえにくい
5年前に助成を受けた
身体障害者手帳を持っている
よくある取りこぼし
先に購入した
決定前の購入は対象外です(目黒区・世田谷区)。
レンタルで済ませた
レンタル・リースは対象外です。
オージオグラムを添えなかった
両区とも聴力図の添付を求めています。
意見書が古かった
目黒区は発行から6か月以内としています。
隣の区の助成額で見積もった
目黒区70,000円、世田谷区50,000円と差があります。
→ 全額払ったときの地図/海外療養費/移送費/治療用装具/補聴器は療養費ではない/書類の横断整理/2年という時効
確認に使った一次情報
- 目黒区「高齢者補聴器購入費助成事業」目黒区 高齢者補聴器購入費助成事業
- 世田谷区「高齢者(65歳以上)のための補聴器購入費助成」世田谷区 高齢者補聴器購入費助成
- 全国健康保険協会「海外療養費」協会けんぽ 海外療養費
- 目黒区「国民健康保険 移送費」目黒区 国民健康保険 移送費
- 横浜市「移送費の支給」横浜市 移送費の支給
- 練馬区「国民健康保険の療養費」練馬区 国民健康保険の療養費
よくある疑問
補聴器は健康保険で買えますか。
買ってから申請できますか。
いくら助成されますか。
所得の条件はありますか。
何度でも申請できますか。
療養費の申請ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。