いったん全額払った日には、受け皿が用意されている
公的医療保険は、窓口で保険証(資格確認)を出して3割だけ払う形が基本です。ところが、それができない場面があります。資格確認ができなかった、医師の指示で装具を作った、海外で受診した、緊急に転院した。こうした場面のために「療養費」という受け皿があります。いったん全額を払って、あとから保険の分を戻す仕組みです。ただし、この受け皿に入らないものもあります。
療養費になる場面
練馬区は、国民健康保険の療養費の対象になる場面を挙げています。
練馬区が挙げている場面
- 「急病など、緊急その他やむを得ない理由で受診し、医療機関で資格確認ができなかったとき」
- 「医師の指示によりコルセットなどの治療用装具を作ったとき」
- 「医師が治療上、マッサージ・はり・きゅうを必要と認めたとき」
- 輸血のために生血の費用を負担したとき(親族から血液を提供された場合を除く)
- やむを得ず高齢受給者証を提示できなかったとき、または負担割合が変わったとき
これに海外療養費と移送費が加わります。いずれも「いったん自分が全額を払った」という点が共通しています。
受け皿に入らないもの
ここを取り違えると、出すところが無いまま時間だけが過ぎます。
療養費で戻るもの・戻らないもの
| 扱い | どこを見るか | |
|---|---|---|
| 治療用装具(コルセットなど) | 療養費 | 加入している保険者 |
| 海外での受診 | 療養費(海外療養費) | 加入している保険者 |
| 緊急の移送 | 療養費(移送費) | 加入している保険者 |
| 通院のためのタクシー代 | 対象外 | 自治体の福祉タクシーなど別制度 |
| 高齢者の補聴器 | 保険の対象外 | 市区町村の助成(購入前に申請) |
| 治療目的で渡航した場合の海外受診 | 対象外 | — |
出典:協会けんぽ・目黒区・横浜市・さいたま市・練馬区の公表内容(2026年9月10日確認)。取り扱いは保険者・市区町村ごとに異なります。
目黒区は移送費について「通院のための交通費は該当しません」、横浜市は「通院に使用した場合は対象になりません。」と書いています。通院の足の問題は、療養費では解決しません。→ 移送費
共通しているのは3つ
制度ごとに書類も金額も違いますが、共通している点が3つあります。
どの療養費にも共通すること
- 医師が書いた書面が要る(意見書・証明書・同意書)
- 領収書の原本が要る(内訳や区間がわかること)
- 時効は2年(練馬区・目黒区・横浜市・協会けんぽ・さいたま市とも2年)
どこに出すのか
市区町村の窓口とは限りません。加入している健康保険によって出す先が変わります。
出す先
| 加入している保険 | 出す先 |
|---|---|
| 国民健康保険 | お住まいの市区町村 |
| 協会けんぽ | 協会けんぽの都道府県支部 |
| 健康保険組合 | その組合 |
| 後期高齢者医療 | お住まいの市区町村(広域連合) |
| 市区町村の補聴器助成 | お住まいの市区町村(高齢福祉の担当) |
会社員の方が市区町村の窓口に行っても受け付けられません。保険証(資格確認書)に書かれた保険者を先に確認してください。
状況ごとの入口
旅行先の海外で受診した
医師の指示でコルセットを作った
救急車ではなく民間の車で緊急に転院した
通院のタクシー代が重い
親の耳が聞こえにくくなってきた
何年か前の領収書が出てきた
よくある取りこぼし
市区町村に出そうとした(会社員)
出す先は加入している保険者です。
通院のタクシー代を移送費だと思った
目黒区・横浜市とも対象外としています。
補聴器を先に買ってしまった
市区町村の助成は購入前の申請が条件です。→ 補聴器は療養費ではない
医師の書面をもらっていない
どの療養費でも医師の書面が要ります。
2年が過ぎていた
時効です。
→ 全額払ったときの地図/海外療養費/移送費/治療用装具/補聴器は療養費ではない/書類の横断整理/2年という時効
確認に使った一次情報
- 全国健康保険協会「海外療養費」協会けんぽ 海外療養費
- さいたま市「海外療養費の支給」さいたま市 海外療養費の支給
- 目黒区「国民健康保険 移送費」目黒区 国民健康保険 移送費
- 横浜市「移送費の支給」横浜市 移送費の支給
- 練馬区「国民健康保険の療養費」練馬区 国民健康保険の療養費
よくある疑問
療養費とは何ですか。
いつまでに申請しますか。
どこに申請しますか。
補聴器は療養費で戻りますか。
通院のタクシー代は移送費になりますか。
療養費の申請ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。