食費と部屋代は、
申請しないかぎり下がりません
やっと順番が来たのに、費用の説明を聞いて手が止まった。年金では足りない気がする。ここで諦める前に、確かめてほしいことが1つあります。食費と部屋代の軽減は、条文上「申請して認定を受けた人」が対象です。黙っていても適用されません。
申請しないと始まらない
軽減の対象になる人を定めているのは、介護保険法施行規則第83条の5です。条文はこう書いています。
「法第五十一条の三第一項の厚生労働省令で定める要介護被保険者は、次のいずれかに該当していることにつき市町村の認定を受けている者…とする」
介護保険法施行規則 第83条の5
そして、その認定の受け方が次の条にあります。
「前条の規定による市町村の認定…を受けようとする要介護被保険者は、次に掲げる事項を記載した申請書を市町村に提出しなければならない」
介護保険法施行規則 第83条の6
要件に当てはまっていても、申請していなければ対象になりません。施設が代わりに申請してくれるとはかぎりません。入所が決まってから慌てる項目ではなく、待っている間に済ませておける手続です。
対象になるのは誰か
規則第83条の5が挙げている条件は、大きく2つです。
軽減の対象になる条件
| 条件 | 条文の書き方 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 住民税が非課税であること | 「その属する世帯の世帯主及び全ての世帯員並びにその者の配偶者…が…市町村民税…が課されていない者」 | ★配偶者は、世帯が別でも見ます。世帯分離をしても配偶者は外れません |
| 預貯金等が一定額以下であること | 「当該要介護被保険者及びその者の配偶者が所有する現金、所得税…」 | 本人だけでなく配偶者の資産も見ます。金額の基準は改定されます |
2026年9月15日に e-Gov法令検索で確認しました。基準となる金額は厚生労働大臣が定めるもので改定されるため、いまの金額は市町村の介護保険担当課で確認してください。
配偶者が行方不明の場合や、配偶者からの暴力を受けた場合などは、条文がその配偶者を除いています。言い出しにくい事情でも、条文に書かれている例外です。市町村の窓口で伝えてください。
今日できること。申請は入所前でいい
待っている間に済ませる
- ① 市町村の介護保険担当課に電話し、「負担限度額の認定を申請したい」と言うこの一言で通じます。申請書の様式と必要書類を教えてもらえます。入所が決まっていなくても、ショートステイを使っているなら今から対象になり得ます。
- ② 通帳の写しを用意する資産の要件があるため、通帳等の写しを求められるのが通常です。本人と配偶者の分が必要になります。
- ③ 非課税かどうか分からなくても、まず出す該当するかどうかを自分で判定してから出す手続ではありません。判定するのは市町村です。出さないかぎり、判定もされません。
- ④ 認定証は毎年の更新が必要か、そのとき聞いておく運用は市町村によります。更新を忘れると、翌年から軽減が止まります。
金額がどう決まるか
支給される額は、介護保険法第51条の3第2項が計算の形で定めています。
特定入所者介護サービス費の額(法第51条の3第2項)
| 号 | 対象 | 計算 |
|---|---|---|
| 第1号 | 食費 | 食費の基準費用額 − 食費の負担限度額 |
| 第2号 | 居住費(居住又は滞在に要した費用) | 居住費の基準費用額 − 居住費の負担限度額 |
2026年9月15日に e-Gov法令検索で確認しました。基準費用額も負担限度額も厚生労働大臣が定める額で、改定されます。ここでは金額を書きません。金額は市町村の介護保険担当課と施設で確認してください。
負担限度額は、所得の段階によって変わります。だから「特養はいくら」という一律の答えはありません。同じ施設の同じ部屋でも、認定を受けているかどうかで実際に払う額が変わります。
部屋の種類でも変わります。ユニット型の個室と多床室では居住費の基準費用額が違います。申し込む前に、どの部屋の話をしているのかを施設に確かめてください。
ショートステイにも効く
法第51条の3第1項は、対象となるサービスを6つ挙げています。そのなかに短期入所生活介護と短期入所療養介護=ショートステイが含まれています。
対象になるサービス(法第51条の3第1項各号)
- 一 指定介護福祉施設サービス(特養)
- 二 介護保健施設サービス(老健)
- 三 介護医療院サービス
- 四 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(定員29人以下の特養)
- 五 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 六 短期入所療養介護
待っている間にショートステイを増やすと、費用が心配になります。認定を先に取っておけば、その分の食費と滞在費も軽くなります。→ 待っている間をどう持たせるか
非課税ではないと言われた人へ
この制度に当てはまらなくても、費用の話が終わったわけではありません。
介護サービス費の自己負担には、高額介護サービス費という別の仕組みがあります。これは食費・居住費ではなく、介護サービスの自己負担が対象です。制度が違うので、負担限度額の認定に落ちても、こちらは別に判断されます。市町村の介護保険担当課で、両方を聞いてください。
状況別の考え方
本人は年金だけ。同居の子どもに収入がある
配偶者と別居している
入所が決まってから申請すればいいと思っていた
預貯金の額を書くのに抵抗がある
認定証はもらったが、施設に出し忘れていた
よくある取りこぼし
要件に当てはまれば自動で軽減されると思っていた
規則第83条の6が、申請書の提出を求めています。申請しなければ認定されません。
入所が決まってから申請するものだと思っていた
入所前でも申請できます。ショートステイも対象です。
世帯分離すれば通ると思っていた
配偶者は、世帯が別でも見ます。条文にそう書かれています。
預貯金は見られないと思っていた
本人と配偶者の資産が要件に入っています。
更新を忘れていた
運用は市町村によりますが、更新を落とすと軽減が止まります。申請のときに更新の時期を聞いておいてください。
高額介護サービス費と同じものだと思っていた
別の制度です。負担限度額は食費と居住費、高額介護サービス費は介護サービスの自己負担が対象です。
よくある疑問
申請してから認定までどれくらいかかりますか
落ちたらもう申請できませんか
施設が代わりに申請してくれますか
いくらになるか、ここで分かりますか
待っている間の費用が心配です
このサイトは、特養の入所の決まり方を、条文と厚生労働省の通知で確かめて書いています。施設ごとの点数の付け方と、いま何番目かは、施設と市町村が持っている情報です。ここでは、その判定に何が使われるのかと、あなたの側から動かせる部分だけを書きます。
確認に使った一次情報
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第7条e-Gov法令検索
- 指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について(平成26年12月12日 老高発1212第1号)厚生労働省
- 介護保険法 第8条第22項・第27項/第51条の3(特定入所者介護サービス費)e-Gov法令検索
- 介護保険法施行規則 第17条の9(要介護状態区分)/第17条の10(特例入所)e-Gov法令検索
- 要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令 第1条第1項e-Gov法令検索
- 東京都大田区「特別養護老人ホームへの入所を希望される方へ」(優先度評価は年3回・有効期間1年・変更届)大田区
- 京都市「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の入所指針について」(申込みは各施設へ・様式4の変更届)京都市
- 老人福祉法 第11条第1項第2号(措置入所)/第20条の5e-Gov法令検索
2026年9月15日に e-Gov法令検索と厚生労働省のページで確認した条文・通知です。点数の配点は施設と自治体が作る指針で決まるため、ここでは配点を書きません。判定に何が使われるかは、上の条文と通知で確かめられます。
費用を抑えることと、手を増やすことは、別に考えられます
通院の付き添いや家事など、介護保険の枠の外になる用事があります。保険外なら必要な時間だけ、必要な日だけ頼めます。相談だけでも構いません。
- まだ決めていない段階でも相談できます。使うかどうかは、話を聞いてから決められます
- 要介護認定や区分を問いません。介護保険の枠の外のサービスなので、認定を待つ必要がありません
- 対応範囲と料金は事業者により異なります。掲載内容は公式サイトの公表値です
特養の申し込みガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。