学校のけがには別の制度がある
学校の管理下でけがをしたとき、日本スポーツ振興センター(JSC)の災害共済給付という制度があります。医療費の給付要件は「療養に要する費用の額が5,000円以上のもの」で、給付は「医療保険並の療養に要する費用の額の4/10」。そして請求権の時効は2年です。請求は学校の設置者を通して行うので、まず学校に申し出るところから始まります。
どういう制度か
学校の管理下での災害(負傷・疾病・障害・死亡)に対して、日本スポーツ振興センターが給付を行う制度です。学校の設置者が加入し、保護者も掛金の一部を負担しているのが通常です。
給付の種類(JSCの公表内容から)
| 給付 | 内容 |
|---|---|
| 医療費 | 療養に要する費用の額が5,000円以上のものが対象 |
| 障害見舞金 | 障害の程度により1級から14級で 4,000万円〜88万円(通学中の災害は2,000万円〜44万円) |
| 死亡見舞金 | 学校管理下での死亡は3,000万円(通学中は1,500万円)、運動に関連しない突然死は1,500万円 |
| 歯牙欠損見舞金 | — |
出典:独立行政法人日本スポーツ振興センター「給付金額」(2026年9月10日確認)。給付の可否と額は個別の事情によって判断されます。
5,000円という線
療養に要する費用の額が5,000円以上のもの
出典:JSC「給付金額」
ここでいう5,000円は「初診から治ゆまでの医療費総額(医療保険の10割分)」です。窓口で払った額(3割)ではありません。
5,000円のはかり方
| 内容 | |
|---|---|
| 基準になる額 | 医療費の総額(10割分) |
| 窓口で払った額に直すと | 3割負担なら1,500円が目安 |
| 期間 | 初診から治ゆまでの合計 |
| 注意 | 1回の受診で足りなくても、通院が続けば超えることがある |
出典:JSC「給付金額」の記載から整理。1回で判断せず、治るまでの合計で見てください。
「たいしたけがじゃないから」と最初に諦めてしまう人が多い部分です。通院が数回続けば、総額5,000円は超えます。
給付の額
医療保険並の療養に要する費用の額の4/10
出典:JSC「給付金額」。このうち1/10は療養に伴う費用として加算されます。
「4/10」の内訳は、医療保険の自己負担分(3/10)に、療養に伴う費用として1/10を加算したものです。つまり、窓口で払った自己負担分に加えて、さらに1割分が上乗せされる設計になっています。
JSCは、高額療養費の対象となる場合について「自己負担額に療養費用の1/10を加算した額」としています。
請求は学校を通す
給付金の支払請求は、学校の設置者がセンター(各地域の給付担当課)に対して行い、給付金はセンターから学校の設置者を経由して保護者に支払われます
出典:JSC「請求と給付」
ただし「保護者も学校の設置者を経由して給付金の支払請求をすることができます」とされています。
保護者がやること
- 学校に申し出るいちばん先。学校の管理下でのけがだったことを伝える。
- 用紙を受け取る「医療等の状況」などの様式を学校から受け取ります。
- 医療機関に証明してもらう受診した医療機関で記入してもらいます。文書料がかかる場合があります。
- 学校に提出する学校がまとめて設置者へ。
- 設置者がJSCに請求する
- 学校の設置者を経由して受け取る保護者の口座へ。
「医療等の状況」は月ごとに書いてもらう必要があります。通院が月をまたぐと、その分だけ証明が要ります。
時効は2年
請求権の時効(JSCの記載)
| 給付 | 時効の起算点と期間 |
|---|---|
| 医療費 | 同一の負傷又は疾病に係る医療費の月分ごとに、翌月10日の翌日(11日)から起算して2年 |
| 障害見舞金・歯牙欠損見舞金 | 負傷又は疾病が治った日の属する月の翌月10日の翌日(11日)から起算して2年 |
| 死亡見舞金 | 死亡した日の翌日から起算して2年 |
出典:JSC「請求と給付」。医療費は「月分ごと」に時効が進みます。古い月から順に切れていきます。
「月分ごとに」という書き方が要点です。まとめて後から請求しようとすると、古い月の分から時効になります。
医療費助成との関係
子ども医療費助成と災害共済給付は別の制度です。学校の管理下でのけがについては、災害共済給付が先に扱われるのが通常です。
学校でけがをしたときに確認すること
- 学校の管理下でのけがか(授業中・部活動中・休み時間・通学中など)
- 学校に申し出たか
- 医療機関に「学校でのけが」と伝えたか
- 子ども医療費助成の医療証を使ってよいか(市区町村・学校に確認)
- 医療費の総額が5,000円以上になりそうか
- 月ごとの証明を受けているか
市区町村によって、災害共済給付の対象になる場合の医療証の扱いが異なります。両方から重ねて受け取ることはできないため、調整が入ります。学校と市区町村の両方に確認してください。
状況ごとの考え方
軽いけがだと思って何もしなかった
通学中のけがだった
部活動中のけがだった
月をまたいで通院している
学校が動いてくれない
転校した
よくある取りこぼし
学校に申し出なかった
請求は学校の設置者を通します。申し出が起点です。
1回の受診で5,000円に満たないと諦めた
初診から治ゆまでの総額(10割分)で見ます。
窓口で払った額で判断した
5,000円は総額(10割分)です。3割負担なら1,500円が目安。
月ごとの証明を取り忘れた
「医療等の状況」は月ごとに要ります。
2年を過ぎた
医療費は月分ごとに時効が進みます。古い月から切れます。
確認の順序
学校でけがをしたら
- 学校に申し出るその日のうちに。
- 医療機関に学校でのけがだと伝える証明を書いてもらう前提で。
- 医療証を使ってよいか確認する市区町村と学校の両方に。
- 月ごとに「医療等の状況」を書いてもらう通院が続く場合。
- 学校に提出する
- 時効を意識する月分ごとに2年。
- 受け取ったら記録を残す
→ 2つの受け取り方/払い戻しの申請と2つの期限/県外受診・医療証を忘れたとき/学校でのけが/お金が戻る順番
確認に使った一次情報
- 練馬区「子ども医療助成費(マル乳・マル子・マル青)の払い戻し(償還払い)申請」練馬区 子ども医療助成費の払い戻し申請
- 板橋区「医療費助成における払戻し申請について」板橋区 医療費助成における払戻し申請
- 独立行政法人日本スポーツ振興センター「給付金額」JSC 災害共済給付 給付金額
- 独立行政法人日本スポーツ振興センター「請求と給付」JSC 災害共済給付 請求と給付
よくある疑問
どこまでが「学校の管理下」ですか。
5,000円は窓口で払った額ですか。
子ども医療費助成と両方もらえますか。
証明の文書料はかかりますか。
いつまでに請求すればよいですか。
子どもの医療費の手続きガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。