「見守り付き」の中身は、事業者ごとに違う
高齢者向けの配食には「安否確認」「見守り」がうたわれます。ところがその中身に共通の決まりはありません。厚生労働省が配食事業者向けに出しているガイドラインには、栄養管理のことは細かく書かれている一方で、安否確認についての基準は書かれていません。だから契約前に自分で確かめる必要があります。
国のガイドラインに書いてあること
厚生労働省は「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」を出しています。ここに書かれているのは、主に栄養と衛生です。
継続的な提供食数がおおむね1回100食以上又は1日250食以上の事業者であって、提供食数の全部又は一部が栄養素等調整食又は物性等調整食であるものにおける当該食種の献立作成は、管理栄養士又は栄養士が担当(監修を含む。)する。
事業者は配達に至るまでの衛生管理について、食品衛生法等の関係法令を遵守するとともに、大量調理施設衛生管理マニュアルの趣旨を踏まえ、衛生管理の徹底を図ることが重要である。
利用者の状況把握についても記述があります。
当該利用者のアセスメントを行う際、事業者は利用者等に対し、当該利用者等の同意の下、別紙2を参考に確認を行う。
そして、事業者向けのリーフレットには次の一文があります。
かかりつけ医療機関、自治体等への相談を利用者に提案する等、適切な支援につなげる対応をとります
書かれていないこと
ここが本題です。ガイドラインには、安否確認をどう行うかの基準がありません。
「毎回手渡しする」「応答がなければ何分待つ」「誰に連絡する」といった手順は、国が決めているものではなく、事業者と自治体がそれぞれ決めています。
だから「見守り付き」という言葉だけでは、次のことが分かりません。
「見守り付き」と書かれていても分からないこと
- 本人に手渡すのか、置いていくのか
- 応答がないとき、何回・何分呼ぶのか
- 応答がないとき、誰に連絡するのか。連絡先は何番まで登録できるのか
- 前回の弁当が手つかずで残っていたら、それを報告するのか
- 土日・祝日・年末年始も配達があるのか。無い日は誰が見るのか
- 配達の記録は残るのか。家族が見られるのか
基準が無いということは、聞けば事業者ごとに違う答えが返ってくるということです。これは欠点ではなく、比べる材料になります。
事業者によって何が違うか
配達の形と、安否確認の実質
| 配達の形 | 安否確認の実質 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 毎日、決まった時間に手渡し | 毎日、顔を見る。いちばん確実 | ひとり暮らしで、日中も在宅 |
| 毎日、玄関前に置く | 受け取られたかは翌日分かる | 在宅していない時間がある |
| 週に数回、冷凍でまとめて | 配達日以外は見ていない | 家族や他のサービスが入っている |
| 宅配便で冷凍を送る | 安否確認は無い | 食事の確保が目的。見守りは別に組む |
「毎日手渡し」以外は、安否確認としては穴があります。穴の部分を誰が埋めるかを、先に決めてください。
費用と確実さは反対を向きます。毎日手渡しは確実ですが、その日に在宅していないと成り立ちません。冷凍のまとめ届けは融通が利きますが、見守りにはなりません。どちらかを選ぶのではなく、組み合わせて穴を埋めるほうが現実的です。
契約前に聞くこと
事業者に確認する順序
- 手渡しか、置き配か「本人に手渡しますか」と直接聞いてください。「見守り付き」の一言では分かりません。
- 応答がなかったときの手順何分待つか、何回呼ぶか、次に誰へ連絡するか。ここを説明できる事業者は信頼できます。
- 緊急連絡先を何件まで登録できるか1件しか登録できないと、その人が出られないときに止まります。複数登録できるかを聞いてください。
- 配達しない日はいつか土日、祝日、年末年始。止まる日ほど事故が起きやすいので、そこを誰が見るかを決めます。
- 前回の食事が残っていたときの扱い手つかずの弁当が残っているのは、体調が変わったサインです。報告してもらえるかを聞いてください。
- 記録を家族が見られるか配達記録が共有されると、離れて暮らす家族が状況をつかめます。
応答がなかったときの手順
事業者に手順があっても、連絡を受ける側の準備ができていないと止まります。家族の側でも決めておくことがあります。
先に決めておくこと
配食の安否確認は「気づく仕組み」であって、「対応する仕組み」ではありません。気づいたあとを誰がやるかを、先に決めておいてください。
連絡が来たとき、誰が最初に動くか
家に入る手段があるか
誰に連絡すれば状況が分かるか
持病と服薬の情報がまとまっているか
ほかの見守りと組み合わせる
配食が止まる日を、別の手段で埋めます。組み合わせの選択肢は、市区町村によって用意されているものが違います。
ここで大事なのは、手段を増やすことではなく、途切れる日を無くすことです。毎日手渡しの配食があっても、土日に止まるなら週2日の空白が生まれます。そこに別の手段を1つ当てれば済みます。
確認の順序
市区町村の高齢福祉担当に聞くこと
- 緊急通報装置の貸与制度はあるか
- 電話や訪問による安否確認の事業はあるか
- 民生委員の訪問の対象になるか
- 配食以外の見守り(新聞・電気・水道の事業者との協定)があるか
- 地域包括支援センターの定期連絡の対象になるか
→ なぜ介護保険から出ないのか/自治体の助成は誰が対象か/安否確認はどこまでやってくれるか/アレルギー表示は義務か/制限の種類/嚥下対応
配達の来ない日を、冷凍でまかなう
冷凍でまとめて届くタイプは、配達が止まる土日や年末年始にも備えられます。内容と栄養価は公式サイトで確認できます。
- f
- o
- o
- d
確認に使った一次情報
- 厚生労働省「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」guideline_3.pdf
- 厚生労働省 配食事業者向けリーフレットhaisyoku_zigyousya.pdf
- 厚生労働省 老健局振興課「介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方」0000192996.pdf
- 消費者庁 食品表示食品表示企画
よくある疑問
「見守り付き」と書いてあれば手渡しですか。
配食の事業者に、体調の相談をしてもよいですか。
安否確認の記録は残りますか。
応答がなかったとき、事業者は家に入れますか。
冷凍のまとめ届けだと、見守りにはなりませんか。
配食を断られることはありますか。
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